親なら「子供の才能を伸ばしてあげたい!」と思うのは自然なこと。
習い事を沢山させたり、野山に連れて行ったり、様々な体験を積ませ、わが子の才能はどこにあるのかを見極めようとされていませんか?
でも、「才能」とは何なのでしょう?
- 生まれた時から決まっている?
- 子供が楽しめるものが「才能」があるということなのか?
- 子供が簡単にできるものが「才能」があるということなのか?
- 「才能」がないとできないものなのか?
「才能」という言葉でお子さんに呪いをかけてませんか?
「才能がない」という免罪符
私は小学生の頃、走るのが遅い子でした。
短距離も長距離もタイムは後ろから数えるほうが早いくらい。
しょんぼりしている私に母は「お父さんもお母さんも運動苦手だから仕方ないわよ」慰めの言葉をかけていました。
こうして「走りが遅いのは両親が運動苦手だから」という、努力をしなくていい言い訳ができました。
なので「早く走る」という努力をすることはなかったのです。
やるだけ無駄だと。
さて、それから30年近くたった今。
私の娘は走るのが速く、かけっこはいつもトップ。クラスの中でも1,2番の速さです。
そこから「運動神経は遺伝する」は、“まやかし”なんだと実感しました。
親が作る家庭の雰囲気に子は左右される
私は「人間の才能はあらかじめ決められている」という思想の元に育ちました。
このような考え方は
- 子供が挫折しないように
- 子供が傷つかないように
親の優しさでもある、転ばぬ先の杖でしょう。
才能がないから挑戦しなくてもいい
おかげさまで、大きな失敗をすることはありませんでした。
なぜなら、挑戦することもなかったから。
振り返れば、自分のできそうなことばかり選択してきたなって思います。
そう思うと
「私の人生ってつまらなかったのかな?」
「もっと冒険しておけば違った面白さがあったのでは?」
と思う時もあります。
- 大きな失敗なく安定しているが「つまらなかったかも?」と思う人生
- やってみたいことに目一杯挑戦して挫折も沢山あった人生
どちらが幸福なのかは正直わかりません。
でも、私は子どもたちには「つまらなかったかも?」と思って欲しくないです。
「人間の基本的資質は努力で伸ばせる」
そんな中で出会った一冊の本が、キャロル・S・ドゥエック著『マインドセット 「やればできる!」の研究』です。
著者である心理学の世界的権威であるキャロル・S・ドゥエック氏によると、実は「人間の基本的資質は努力次第で伸ばせる」とのこと。
もちろん「訓練をほとんど、あるいはまったく受けなくてもできてしまう人」というのは存在していて、そういう人のことを周囲は「才能がある人」と呼ぶのでしょう。
でも、「だからといって、それ以外の人は訓練を受けてもできないというわけではない」と書かれています。
例えばテストで悪い点を取った時、「才能が全て」と思う人は「ぼくは馬鹿だから」「私は数学が駄目だから」と能力をなじったり「先生の教え方が下手だから」と責任を転嫁したりすることも。
一方、「努力で伸ばせる」と思う人は、なすべき課題をみつけ「もうだめか」という不安に苛まれながらも、やるべきことから逃げずに勉強に励むのだそうです。
だとしたら、「人間の基本的資質は努力次第で伸ばせる」と思っている人のほうが、ずっと豊かな人生を送れると思いませんか?
家庭の雰囲気が「やればできる」を育む
かつての私がそうであったように、子供は親や教師の言葉から「考え方」を植え付けられてしまいます。
ですので、子供に「やればできる」の心持ちを持ってもらうためには常日頃の言動が大切になってきます。
例えば、以下のようなメッセージはNGです。(本書より抜粋)
- 「今日は宿題、ずいぶんはやくできたのね!」
- 「あなたは賢い子なのだから、次はきっとできるわよ」
- 「そんなに早く覚えられたなんて、あなたは本当に頭がいいのね!」
- 「あの絵をみてごらん。あの子は将来のピカソじゃないだろうか」
性格や個人の特性を褒めることは「能力を評価」していることに他ならず、こうした言動が多い家庭では「才能こそすべて」という考え方を子供に植え付けてしまうそうです。
大事なのは、「努力と成長に注目したメッセージ」を送ること。(本書より抜粋)
- 「長い時間一生懸命に宿題をやっていたね。集中して終わらせられてえらいぞ」
- 「この作文には自分の考えがたくさん書いてあるね」
こういったメッセージを沢山かけると「やればできる」の心持ちが育むのだそうです。
「やればできる」のマインドセットがあると……
「やればできる」のメッセージを沢山受け取った子どもたちは、
- 潜在能力が開花するのには時間がかかる
- 誤りを素直に認めて教訓を得ればさらに成長できる
という精神を身につけることができるそうです。
こういう考え方が心のなかに育っていれば、努力することをいとわず、挫折にも強いひとになりそうですね。
ああ、私もこういう考え方生きていればなあ。
違った人生だったかもしれません。
せめて、子どもたちには「人間の資質は努力次第で伸びる」という考え方を身に着け、やりたいことに挑戦していってほしいと思います。
そのため、私もそうした心持ちを育める家庭環境を維持したいと思います。
ちなみに本書には、他にも「なるほどー」と思うことが沢山書かれています。
気になった方はぜひお手にとって読んでみてくださいね。