小学校のプログラミング教育が2020年から開始。
2025年1月の大学入学共通テストから、プログラミングも出題されるようになります。
小学校においては
児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
引用元:小学校学習指導要領
として導入されることになりました。
こうした背景から、プログラミングを学び始めたばかりの小学生も受けやすいプログラミングの技能を認証する検定がいくつかあります。
これらの検定は、大きく2つに大別されます。
- Scratch(MITメディアラボが開発したビジュアル言語)の技能を計る
- 教育用レゴ®の技能を計る
それぞれどのような検定があるか、早速ご紹介して参りましょう!
Scratchの検定
ジュニア・プログラミング検定 Scratch部門
公式サイト | https://www.sikaku.gr.jp/js/ks/ |
運営 | 株式会社サーティファイ 情報処理能力認定委員会 |
認定技術 | Scratch2.0 or Scratch3.0 |
検定料(税込) | Entry 2,343円 Bronze 2,546円 Silver 2,750円 Gold 2,954円 |
受験資格 | なし |
合格基準 | 正答率 6割 |
ジュニア・プログラミング検定は2016年から開始された、Scratchを使用したプログラミングスキルを測定し、その能力を証明・認定する検定です。
運営は、株式会社サーティファイの情報処理能力認定委員会。
30年以上前から情報処理技術を認定する試験を展開されており、Java™ やC言語といったプログラミング言語の認定もされ、検定運営実績のある企業です。
対象年齢は特になく、幼児から大人まで、誰でも受けられます。
合格に必要な正答率は6割。
検定料は最も高いGoldレベルの費用でも3000円未満とリーズナブルになっています。
レベルは4つ 試験範囲も明確
ジュニア・プログラミング検定で受検できるレベルは、4つに分けられています。
初学者向けのEntryから始まり、Bronze、Silver、Goldとより難易度が高くなっていきます。
公式サイトにおいて、それぞれのレベルで「どこまでの内容を理解できていればよいか」範囲が明確に記述されており、受検者に優しいですね。
実践的な試験内容! 発想力や表現力も試される!
試験では、問題文や完成例ムービーを参照しながら、Scratchを使用して制限時間内に実際にゲームなどのプログラムを1つ作りあげます。
ここは注目ポイントです!
プログラミングで最優先されることは「求められた結果が出せること」です。
人によって処理の方法も異なることでしょうが、まずはこれを達成できなければ意味がありません。
そこをゴールに設定された検定というのは良いですね!
また、既に作られたプログラムの仕様変更(上位級のみ)や、プログラムにアレンジを加えそれを言葉で表現する、発想力や表現力が求められる問題も出されています。
実践的で、これからの時代に必要とされる能力を判定する検定となっています。
内申点への評価にも! 取らせたい資格の上位にもランクイン!
プログラミングがこれからの時代に必要とされる能力である1つの根拠として、ジュニア・プログラミング検定は、公立中学校の内申点の加点ポイントになることも!
また、イー・ラーニング研究所が公表した「Withコロナ時代における子どもたちの将来に関する調査アンケート」の「子どもに取らせたい資格」で1位の英検に続き、第2位となっています。
学習方法 公式テキストあり!
独学で勉強する場合は、公式テキストが存在しますので、そちらを用いて勉強されるとよいでしょう。
また、Scratchは初学者向けのビジュアルプログラミングとして作成された経緯もあり、小学生向けの数あるプログラミングスクールでも学べます。
例えば、当サイトでご紹介している「個別指導塾ラシク」では、ジュニア・プログラミング検定合格を目標に、それに準拠したオリジナルカリキュラムを提供されています。
受検方法 公式サイトから会場検索
個人で受検する場合は、公式サイトの個人向けページから受検の流れを確認の上、会場を検索することができます。
会場となっているのは、主にパソコン教室や、プログラミング教室が多いです。
検索の上、会場に直接メールや電話などで問い合わせて、日時や受検費用の納付などを具体的に説明を受けて受検する仕組みです。
また、ジュニア・プログラミング検定は、プログラミング教室などに所属していれば団体受検も可能です。
日商プログラミング検定(Entry)
公式サイト | https://www.kentei.ne.jp/pg/entry |
運営 | 日本商工会議所 |
認定技術 | Scratch2.0 or Scratch3.0 |
検定料(税込) | 3,300円 |
受検資格 | なし |
合格基準 | 正答率7割 |
日商プログラミング検定は、ITを利活用できるスキルを持った人材が不足していることが課題の現在、情報技術の基盤となるプログラミングスキルの学習を支援するために始まった検定です。
レベルは4段階あり、そのうちEntryレベルはScratchで受検することができます。
簿記検定で知名度のある、日本商工会議所が認定する検定であり、運営基盤は盤石といえるでしょう。
対象年齢は特になく、幼児から大人まで、誰でも受けられます。
合格に必要な正答率は7割。
Entryレベルの検定料は3300円(税込)となっています。
試験内容と試験範囲 ネットリテラシーやモラルが試される
Entryレベルでは、初学者向けに、ビジュアル言語「Scratch」による簡単なプログラミングおよびプログラミング的思考を問う問題が出題されます。
形式は、選択肢から答えを選ぶ択一式。
試験範囲は、Scratchのプログラミングに使用する知識だけではなく、ネットリテラシーやモラルも問われるのが特長です。
本検定の目的が、IT技術者不足という課題の解消と、プログラミングスキルの学習支援のための目標なので、情報リテラシーを問われるのも納得がいきます。
学習方法 サンプル問題あり
特に公式テキストはありませんが、サンプル問題が公式サイトに掲載されていますので、参考になります。
また、関連書籍として以下が紹介されていますので、こちらを元に勉強されるのがよいと思います。
ジュニア・プログラミング検定と同様、数あるScratchプログラミングスクールでも学ぶことができます。
受検方法
公式サイトから受検会場を検索して、直接受検申し込みを行います。
試験は会場に設置されているPCから、インターネットを介して実施します。
終了後、すぐに採点・合否判定が行われるのもポイントです。
なお、試験前に、自分の氏名・住所をパソコンで入力する必要があります。
ある程度のキーボード操作が求められるのは、お子様によっては難点かもしれません。
▶日商プログラミング検定(Entry)のお申し込みはこちらから
ロボット・プログラミングの検定
ロボット検定©
公式サイト | https://robogiken.jp/ |
運営会社 | 一般社団法人 ロボット技術検定機構 |
認定技術 | LEGO® WeDo2.0 LEGO® MINDSTORMS® Education EV3 |
検定料 (税込) | WeDo2.0【3級】3,080円 WeDo2.0【2級】4,180円 WeDo2.0【1級】5,280円 EV3【3級】3,465円 EV3 【準2級】4,015円 EV3 【2級】5,115円 EV3 【準1級】6,215円 EV3 【1級】7,315円 |
受検資格 | 小学生以上 受験会場にキットを持ち込める方 |
合格基準 | 正答率7割 |
ロボット検定©は、ロボット技術の習得レベルを対外的に示す目安として、また、これから学ぶ人たちのために、ロボット技術者になるために必要な知識と技術の指針を示すために開始された検定です。
2011年に第1回が開催され、現在では、1回の受検で2000人が受けるほどの規模になっています。
運営は、一般社団法人 ロボット技術検定機構。
神奈川県の「かながわ次世代ロボット検定事業」として設立されたのが始まりです。
使用するロボットプログラミングキットは、LEGO社が提供する教育用レゴ®マインドストーム®EV3とレゴ® WeDo2.0、いずれかのキットです。
検定料は受検する級によって異なりますが、3,080円~7,315円(税込)となっています。
合格基準は正答率7割と高い基準になっています。
試験内容と試験範囲
ロボット検定 © は、レゴ® WeDo2.0 の技能をはかる「ロボット検定 For WeDo2.0」と 教育用レゴ®マインドストーム®EV3 の技能をはかる「ロボット検定 For EV3」の2つがあります。
「ロボット検定 For WeDo2.0」は、小学校低学年以上を対象とし、プログラミングやロボットを始めた子どもたちの学習成果を認定するものです。
レゴ® WeDo2.0を使用して、プログラミングとロボットに関する内容が出題されます。
「ロボット検定 For EV3」 は、小学生、中学生、高校生以上を対象とし、教育用レゴ®マインドストーム®EV3 を使用して、より高度なプログラミングやロボットに関する内容が出題されます。
基本的なロボット技術の習得を試す4級から、企業で即戦力として活躍できるランクの1級まで、幅広くロボット技術者の実力が判定されます。
なお、ロボット検定では「実技試験」が重視されます。
「実技試験」の出題内容としては、用意された材料で課題を解決するロボットを組み立て、プログラムを完成させて課題を達成するなどであり、より実践力の試される試験です。
そのため、ランクが上がるほど実技試験が重視され、試験の配点も高くなります。
実技試験の配点が7~8割の中、正答率も7割を求められるので、難易度が高いといえます!
学習方法
まずは、 教育用レゴ®マインドストーム®EV3 、LEGO ® WeDo2.0を楽しんでみないことには始まりません。
通信講座:Z会のプログラミング講座 with LEGO ® Education
独習するなら、Z会のプログラミング講座 with LEGO ® Education があります。
2つのコースがあり、「基礎編」ではWeDo2.0、「標準編」ではSPIKEプライムキット(EV3よりパーツが少し少ないキット)を使って行います。
1年間で全12回。
月ごとに変わるテーマを元に、テキストが送付され、要点をまとめながらロボットを作っていく形式です。
何月からでも始められ、自分のペースでできるのが特徴です。
オンライン講座:e-crefus
その他、対面型のオンライン教室として、e-crefusで学ぶことができます。
e-Crefusは、ロボット・プログラミング教室を全国展開しているCrefusが実施しているオンライン講座です。
Crefusで実際に行われているロボット・プログラミング講座と同じカリキュラムを自宅で学ぶことができます。
Crefusは、ロボット検定の試験会場にもなっており、過去問題集も発売しています。
そうした背景からも、Crefusの講座を受けるのは効率的と言えるでしょう。
受検方法 自前のキット持ち込みが必要!
公式サイトからのフォーム入力で受検申し込みをすることができます。
受検したい試験会場をあらかじめ公式サイトから検索し、フォームで選択して申し込みをします。
試験費用は銀行振り込みで、キャンセル・返金はできませんので注意しましょう。
なお、試験当日に使用する教材は、自分で持ち込まなければなりませんので、その点は1つ注意が必要です。
まとめ:最初に目指すオススメは「ジュニア・プログラミング検定」!
プログラミングをこれから始めよう! という方には、「ジュニア・プログラミング検定」をおすすめしたいです!
ロボット・プログラミングは面白そうだし、私もやってみたいなという気持ちはあります。
ですが、どうしても最初に教材を準備する必要があり、初期コストが大きいのは、始めるのにはリスクが高くネックです。
その点、Scratchは、PCのみで始められるので気軽です。
また、ロボット・プログラミングでも、ロボットを動かすのに必要なプログラムを記述することになります。
よって、ロボット・プログラミングをするにしても、Scratchでプログラミングの構造や、プログラミング的思考をあらかじめ学んでおくことは、全く損になりません!
Scratchを学ぶ上で「ジュニア・プログラミング検定」の合格を目標に設定しておくと、お子さんにとってのモチベーション維持にも繋がりますし、保護者の方にとっても、お子さんの習得度が可視化されるので、「この習い事を続けていいのだろうか?」と悩むことも少なくなるでしょう。
また、「ジュニア・プログラミング検定」は、EntryからGoldまでスモールステップでレベルアップでき、実践力重視の試験内容でスキルが身についていることが実感できるのも素晴らしい点だと思います。
今後、プログラミング教育が盛り上がってきますと、新たな検定も増えてくるものと思われます。
その際は、また追加してお知らせして参りたいと思います。
以上、小学生が受けられるプログラミング検定についてお伝え致しました。
皆様のご参考になりますと、幸いです!